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川村 英之; Yoon, J.-H.*; 伊藤 集通
海と空, 80(1), p.37 - 45, 2004/07
日本海では頻繁に、塩分極小・溶存酸素濃度極大で特徴付けられる日本海中層水が観測されている。この日本海中層水の起源は、ロシア・北朝鮮沿岸に存在する沿岸低塩分水であることが過去の研究により示唆されてきた。沿岸から日本海の亜極前線付近に移流された低塩分水は、何らかの原因により亜表層から中層に沈み込むと考えられる。本研究ではネスティングモデルを用いて、日本海中層水の形成要因を調べた。特に水平解像度1/18で計算した結果、亜極前線域では最大0.05cm/s程度まで達する鉛直下降流が強化され、それに伴い亜表層の低塩分水が中層に輸送され、塩分極小水が中層付近で孤立した形で存在する現象が明瞭になった。水平解像度を高くすることで、中規模スケールの物理現象を再現することが可能となり、特に亜極前線域における傾圧不安定による輸送が日本海中層水の一つの重要な形成要因であることが示された。